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ひるね姫

何となく応募した東京アニメアワードフェスティバル2017(TAAF2017)の上映会に当たったので行ってきました。

会場はシネ・リーブル池袋のシアター1でした。実は当選メールが迷惑フォルダに入っていたせいで直前まで当選したことに気づいてなかったのですが、私と同じようにメールに気づかなかった人が他にもいたのか空席がちらほらありました。ちなみにシネ・リーブル池袋があるルミネ池袋の一階ではTAAF2017のオープニングセレモニーが行われていて神山監督がテープカットしていました。

さて、感想です。

東のエデン」以来の神山監督オリジナル作品ということで期待していたのですが、一言で言ってしまうと「物足りなかった」です。

夢と現実が入れ替わりながら話が進んでいくため中盤まで謎が深まるばかりなのですが、終盤にちゃんと風呂敷を畳んでくれます。そこは神山監督、師匠?の押井監督と違って親切だといつも感じるところなのですが、今作では謎が解けていくほど話のスケールが小さくなっていき、最後もカタルシスに欠けるまま物語が終わってしまい、親切さが裏目に出てしまったように思いました。この物足りない感じは「東のエデン 劇場版」を観たときにも感じましたが、一方で「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」では高いエンタメ性を確立して「GHOST IN THE SHELL」とは違う魅力を生み出していたので、親切なこと自体は悪いことでは無いと思います。

少し視点が変わりますが、今回音楽を担当しているのはアニメでは珍しい下村陽子さんです。過去の神山作品で起用された菅野よう子さんや川井憲次氏の楽曲は印象に残るものが多かったのですが、今作の楽曲はあまり印象に残りませんでした。もっとも意図的に音楽に主張させなかったのかもしれません。ただ、下村さんが手がけた主題歌「デイ・ドリーム・ビリーバー」のアレンジはとても良かったです。

上映終了後のトークセッションで神山監督は「東日本大震災で心境が変化し、これまでやってきたシリアス路線ではなく、明るいファンタジーを作りたかった」と語っていました。それを聞いた時、震災の影響を受けた作品として「君の名は。」と「シン・ゴジラ」が思い浮かんだのですが、この2作とは対照的に震災を思い起こさせる要素は"ほぼ"ありません。"ほぼ"というのは、夢パートに出てくるアレを震災と解釈することが出来るかもしれないからです。個人的には神山監督が正面から震災に向き合った作品を観たかったです。

正直に言って「ひるね姫」が興行的に成功するのは難しいと思います。「君の名は。」ほどポップでもなく、「シン・ゴジラ」ほどカルトでもない、なんとも中途半端な作品だからです。そして大人の事情かもしれませんが、夏休みの話なのに公開時期が春だというのも首をかしげます。「ひるね姫」が興行的に失敗して、また「009 RE:CYBORG」公開後のように神山作品がしばらく見られないなんてことにならなければいいのですが。