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シン・ゴジラのありがたさ

今夏の二大邦画である「シン・ゴジラ」と「君の名は。」は両作とも初日に鑑賞した。世間では両作とも好評らしいが私は圧倒的にシン・ゴジラを評価している。君の名は。は良い映画だったが、別にもう一度観たいとは思わないし、どうせなら秒速5センチメールを観直すと思う。

 

だから、君の名は。の大ヒットが、それもシン・ゴジラを上回るペースだというのが信じられない。興行収入が作品の良し悪しを決定するものではないとお茶を濁そうにも、君の名は。公開前にシン・ゴジラの大ヒットに喜んでいた自分と矛盾してしまうので、私が世間の動向に首を傾げるほどシン・ゴジラを贔屓したくなる理由は一体何なのか考えてみた。

 

シン・ゴジラ庵野秀明が得意なカッコイイ映像がとにかく盛りだくさんで、3.11からの情けない現実を理想の虚構で塗り替えて気持ち良くさせられた後に、何も変わっていない現実に気まずくなり、また虚構で塗り替えてもらうために何度でも観たくなる映画だった。君の名は。は絵は綺麗だし見終わった後に殴られたような感覚も残らない良い映画だった。

 

なーんてことを考えながらシン・ゴジラ音楽集を聴いていた。鷺巣楽曲に続いて初代ゴジラ楽曲が流れてきた時、初日の劇場でクレジットに入った瞬間に鳥肌が立ったのを思い出した。私は平成生まれでゴジラ作品を映画館で観たことがなかった。幼少期にゴジラvsモスラをテレビで観た気がするのと、まともに観たのは2014年のハリウッドゴジラのみ。物心がつく頃にはゴジラ衰退期に入っていて、ハリウッドゴジラは私をにわかゴジラファンにさせるに足る作品ではなく、ゴジラは「私のゴジラ」ではなく「あのゴジラ」でしかなかった。

 

それが、シン・ゴジラ庵野作品という入り口を用意して、私をにわかゴジラファンに誘い、「あのゴジラ」を「私のゴジラ」にしてくれたわけだから、申し訳ないが私にとって君の名は。とは比較にならない大変ありがたい作品なのである。