高等学校卒業程度認定試験の思い出

高校中退した僕はこの先大学に進学するにしても、とりあえず高等学校卒業程度認定試験(以下、高認)に合格しなくてはと考えていた。

 

高認の試験科目は国語、地歴、公民、数学、理科、英語だが、中退前に履修した科目は免除されるため、僕が受ける必要があったのは地歴と理科のみ。

公民は現代社会、理科は地学を選択した。

 

高認はマーク式かつ40%以上の得点で合格と難易度は高くないので独学で受験することにした。

ネットでリサーチすると、NHK高校講座がネットで無料公開されていて高認対策に適しているとあったので、高校講座と過去問のみで対策した。

現代社会は高校講座になかったので常識で挑み、地学の合間に女性アシスタント目当てに日本史と世界史を観ていた。

(日本史は同時期に放送していたガンダム00に出演していた小笠原亜里沙。世界史はあざといポーズが可愛すぎて勉強どころではない寺田ちひろが出演していた。)

 

いざ受験当日。

会場へ向かう電車で隣に座るおっさんに脚で押されて嫌な思いをした。幸先が悪い。

試験会場周辺では塾関係者がいろいろ配ってた。高認なんてひっそり行われると思っていたのに意外だった。

会場に入り塾講師らしき人が生徒たちを鼓舞している光景を横目に見ながら指定された教室に入った。

教室には大学入試と違い制服を着た人は誰もいない。DQNと引きこもりが一堂に会する奇妙な空間だった。

高校中退した知り合いがいないため、高校中退する人とはどんなものか周りの人間がとても気になった。

僕はアニメ以外でピンク色の髪をした人を初めて見た。

 

2科目なのに日程の都合上試験は二日間にまたがった。

ちょうど私立理系の人がセンター試験の一日目に英語だけ受けなければいけないように。

試験が終わった段階で合格点は取れたという感触はあった。

 

翌月文科省から合格証書が届いた。まあまあ嬉しかった。

高認は合否のみが知らされ、試験の点数は直接開示されない。

大学入試の願書に同封する必要がある合格成績証明書に得点に対してA(80点以上)、B(60点以上79点以下)、C(40点以上59点以下)の3段階で評価が記載されるが、合格成績証明書は有償(250円)かつ開封すると無効になるため、余分に申請しなければ自分のおおよその点数を知ることはできない。

 

ちなみに後に確認した僕の成績は現代社会がA、地学ⅠがCだった。高校講座の効果は微妙だったのかもしれない。

ただこの成績が大学一般入試に影響することは一切ないので気にしなくていい。

 

さあ、めでたく高認に合格した僕は順調に大学受験に取り掛かることが期待されるものの、高認と大学受験のギャップに戸惑い、なまじ独力で高認に受かってしまったため誰かの指導を受けることもできずに打開策が分からないまま数年間ニートになってしまうのだ。